朝昼晩もりもり御飯を食べながら夫は米の値段を知らない  山本照子



美しき蜻蛉(とんぼ)玉得し我が物といふをためらふまでにうつくし  梶崎恭子



春の日は影ひきながら赤光会斎藤病院門をとざせり  越田慶子



おのが身の咀嚼され胃に落つる音をはりに聞くかパンの耳はも  吉岡馨



列島は「宵待草」の女人(ひと)に似てことに東海の腰の羞(やさ)しゑ  高島藍




                                                (2007.5.24.記)