六月の雨に濡れたり パチンコの巨大モニターだけが饒舌  竹田正史



越え隔る山河呼ぶごと病む床に父は唄ひき長野県歌を  三良富士子



モネの絵は少し離れて眺むべしセーヌの川面の揺らぎも見ゆる  阿萬美奈子



お金はたーんとあると言ふときのたーんといふ響きが好きだ  田宮ちづ子



メール待つ我の窓辺にささがにの窓拭きびとが降りてくる午  砺波湊



小さき手で孫が育てしきうり食む今日がわたしのサラダ記念日  遊亀涼



このちからみんなに分けてあげたいな文章を書くこのうれしさを  上村駿介(11歳)