影踏みの影がない、ない またひとり少女が居なくなる夕間暮れ


道々に防犯灯を殖やしつつ降誕祭をわれらは待てり


月夜霊(つくよみ)の涙にふやけ波打てる週刊写真誌表紙の女


おほくちの真神(まかみ)獣舎をひたぶるに回(めぐ)安息日朝十時


噴水は水霧(みなぎ)らひをり瑕疵をもつ細胞じーんじーんと濡らし< 此附近芭蕉翁終焉ノ地ト傳フ > 碑のひそと黄落俟(ま)つ御堂筋


唯一の < 閉店観察人 > を宣るひとのブログに真夜つきあたる  伊波虎英