2008-08-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 厚切りのカステラ食めば思ほゆるかの北原白秋(はくしう)の触れしやは肌 こッ斑(ぱん)の消えては出づるむず痒きわが身は何に疲弊してゐる しろがねの雨ふる夕べ バリカンは老いたる神の頭(づ)を刈りてゐむ Ave Maria 踏絵のマリアふむやうに雨は恥(やさ)しく舗装路に触る 板ガムと粒ガム並ぶコンビニで緑薄荷(スペアミント)の板ガムを買ふ 銀紙をはがせば草の匂ひたち踏絵のマリア像あらはれぬ トランプをきる童貞の手すさびに王も兵士もぼろぼろとなる 伊波虎英