局地的豪雨北上しておりぬ最近の若い雨は、と思う  津和歌子



ちいさな事につまづくわれは弱き者強さ欲しくて見るエド・はるみ  阿部美佳



己が身は先に滅ばん堂々たる十年保証の単三電池  生野檀



革命を信じて割れているざくろ残酷なほど赤く溢れて  森直幹



草原のキリンは深く首を折り夕陽の溶けたみづを飲みをり  松野欣幸



街なかに山なす古墳一座あり朝の光に黒く迫りく  村田耕司



「毛受(めんじよう)」とふ姓が読めずに「先生のくせに」と言はれし若き日のあり  八木明子