2009-01-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 秋の日の言葉はさびし出づるうた出づるうたみな過ぎゆきのこと 仏壇の林檎ほのかに香る真夜、矢じりのごとく鼻梁尖りき きんもくせい甘く香れば思ほゆる学習雑誌の綴込み付録 蜜柑の絵、爪でこすれば匂ひ来し甘き人為の香をいまも恋ふ ワタクシハ存在セヌと風は告げたたずむわれの頰を撫でたり 山折り線、谷折り線の襞なせる秋のこころの糊しろ何処(いづこ) わが体(たい)は紅葉(もみぢ)しはじむ万願寺唐辛子嚙みくだく甘みに 伊波虎英