2009-03-19 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 三歳のからだが騒がし抱きやれば熊野の海の潮騒ひびく 鶴田伊津 ガラス戸があくと酒巻酒店の紙の門松ともにあきたり 佐々木通代 日本のいなかの寺の本堂にくつしたのやぶれわれ見てをりつ 小池光 いつの世のどの宰相の夢なるか美しき国そのなれの果て 藤原龍一郎 紙臭き自販機コーヒー舐めながら流言蜚語の「ひ」あたりを聞く 森澤真理 駅といへ馬は来たらず馬面のいくたりは来ていななきかはす 榊原敦子 干し上げし物たたみゆくぬくとさよ喜びとして一日を終る 永嶺榮子