2009-08-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 神経質(ナーヴァス)に手を洗ふがにやや強き風に新樹はゆれやまざりき マスクせし女神ネメシス満員の車輌に愛(は)しき咳ひとつしぬ 念入りにうがひをしたり上を向くかほ大山椒魚(はんざき)の貌となるまで ぎちぎちに文字の詰まれるこそ良けれ太宰治の新潮文庫 北上書房で『新樹の言葉』購ひて斜陽館めざしし二十四の頃 斜陽館にひとり泊まりし七月の < わかさ、かくて、日に虫食はれゆき、> 水無月の雨は意地酒 百歳(ももとせ)の津島修治が酔ひどれてをり 伊波虎英