三百個ほどの球根埋め終へ違法行為に終止符を打つ  阪本まさ子



汚れたる手をもてあますゆふまぐれ南の島の塩を買ひたり  関口博美



母の指スナップ写真にうつりこみ淡い色した雲として浮く  砺波湊



ハンバーグと見紛ふほどの母の舌ガーゼに怖怖付着物拭ふ  水田まり



町なかの小さき墓地に住みつける白猫のその白さおそろし  松野欣幸



それほどは親しくもない同僚と欠けゆく太陽見上げておりぬ  関浩子



とびぬけて明るいぶるーのチェックシャツ穂村弘をまるごと見たり  川井怜子



七十になりて思へりそれ以後に真の仕事をせし鉄斎を  永井秀幸



経済の発展著き隣国に「宅男宅女(ひきこもり)」増えているらし  前田靖子