2010-02-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 明日を死ぬ人らに夜ごとほほ笑みて鬼面の瓦ひび割れてゆく 黄葉に肥(ふと)る鴨脚樹のかがやけるさまに男をあざむく女 二十年前のティッシュに包(くる)まれてコンクリ片ありベルリンの壁の ベルリンの壁の欠片をひとつ入れ白く濁れるフィルムケース よぢ上りしベルリンの壁下りるとき壁の高さを思ひ知らされき レシートを手に丸めれば蠢けりかつてザムザでありし甲虫(かふちゆう) 魂の重みのごとくレシートに数字と文字は印されてをり 伊波虎英