核兵器保有論者のさす傘もひらけり冬の雨ふる街に


大蛇(うはばみ)のごとくとぐろを巻く睡魔ほどきて母とテレビ見てをり


人として在る天運をおもひつつ日本人われ聖夜をすごす


「短歌人」一月号を待ちながら大晦(おほつごもり)のガラスをみがく


わが家に思ひもかけぬ除夜の鐘とどけて年を越えし大風


またひとつ年を重ねてほほほほと深井の女(をみな)わらふ元旦


冷や飯をぬくめるだけの一生は嫌だと電子レンジ自害す  伊波虎英