まつしろなシーツを冬の空に干す風向きはたぶんわたしが変へる  三島麻亜子



あけがたの夢の断片まとひたるわが身に苺ひと粒の寒  関口博美



浴室はほのぼの温し老い母のまろき背中に湯をかけるとき  小出千歳



週ごとに献花のかはる交差点わたり終ふるまで子に付き添ひぬ  春野りりん



週末にのみ帰りくる子の部屋を巡り撒きゆく鬼やらひの豆  洲淵智子



存らへて病むは寂しゑそしてまた病むひと遠く思ふも寂しゑ  尾本直子