2010-04-12 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 大き顔むだに広げる黄蜀葵よく似た女をひとり知ってる 大橋麻衣子 ひとりゆえ親しむこころジャンパーのナイロン生地の擦るる音にも 西川才象 祭壇の遺影はデジタルフォトにしてつぎつぎ変はる大叔母の顔 洞口千恵 ゴキブリを叩いて潰す母親と掃除機で吸う妻の語らい 森直幹 ひとびとが女人と決めている山のその寝姿のうえを雲ゆく 久保寛容 ひとつづつ合鍵もちて子ら出入るこの家にひとり老いてゆくなり 野久尾清子 苺はねぇ「七郎兵衛」と言えばよい 一世の祖母は教えたまいき 川口かよ子