赤福」の桃花いろの包み紙ほどけば子規の句が春を告ぐ


豆ごはん緑あざやぐ飯碗にひび見つけたる夕餉の哀し


この碗で食ぶる最後の後(のち)飯(いひ) 豆ごはん食む二膳目を食む


あたらしき茶碗を母はまづ茹でつ母の母より伝はる知恵に


女時(めどき)とふことば男時(をどき)といふことばあるを哀しむ花冷えの夜


うつくしき乙女が立てばマウンドは < エデンの園 > となる、始球式


自らのあばら骨もて魂きはる < 命の木の実 > をアダムは打ちし  伊波虎英