2010-10-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 牛乳でグラスをよごす八月の朝かなしみのひとつ兆せり 好きだつた夏も嫌ひになつてゆく さう老いるとはさういふことだ 砂浜に漂着したる流木に幽霊高齢者のゆくへ訊く デイサービスの福祉車両に八時間置き去りにされ死にし老い人 自販機にしみいる蟬のこゑならむしゆわしゆわしゆわと爆ぜる炭酸 全身でぶつかつて来るをさな児のやうに路面をゆふだちは打つ (扇風機のタイマー切れぬ)払暁の海に果てにしカミカゼ一機 伊波虎英