2010-10-17 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 自転車に乗りたるままの姿にて死にし人あり寓意なるべし 藤原龍一郎 夏の夜空に寂しき狐がゐるといふその長き尾を白く流して 西崎みどり 猛暑日は熱帯夜へと移りつつどつちが棄てたかわからぬ親と子 松村洋子 高き位置にとどまる肉のかたまりとして八月のキリンは歩く 長谷川富市 けふひとひ母のかたはらに添ひたれば母のくしやみを幾たびか聞く 斎藤典子 蝉のこゑさへも途絶えてまひるあり黒日傘の人あゆむひそけさ 小池光