捨てられしガラクタばかりが美しき影をひろげる夕立ちののち  太田賢士朗



アマゾンに中古の本を頼みたれば投げつけるごと翌日届く  三田村まどか



やまない雨はないという明けない夜はないというないものが来る  吉原俊幸



人生を軽く扱ひゐるごとし借金のことローンと言ふは  荒船武文



若き男女の寄り添ひをれば早朝の橋わたりつつ足早になる  青木みよ



「挙式する代わりに身内で芋煮会します」とひとこと幼馴染みより  小玉春歌



校庭に逆上がりせしふたり子の尻のかはゆし ルピナスが咲く  長田貞子