2011-02-07 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 だれひとりあふ人なければ此の世とは思へぬ大歩危ひえびえ歩む 高島藍 エンジンをかけつぱなしの助手席に運転出来ぬわれは残さる 中島敦子 避難訓練誘導にしたがひ建物より出でたれば知るなんと今日の青空 吉岡馨 店先で貰ふ風船増えゆきて色とりどりの雲飼ふ如し 河村奈美江 バスタブでふやかしブラシでそぎ落す私の一部となった疲れを 天野慶 治まらぬ怒りを持ちて作りたるとんかつやけにサクッと揚がる 永田きよ子 前沢の曲り家に残る農機具はかつてわが家にもありし品々 苅部利江