2011-03-09 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 鳥影を呑みて山影さらに濃し暮れの紅葉の熾火鎮まり 吉原俊幸 マフラーに顔をうずめて眠り込む自分が誰か忘れる程に 暎泉 三回忌に亡父の日記を燃やしおり終に一度も開くことなく 平田栄一 テレビにて圧力鍋の効用をカストロ自ら説明したり 後藤祐子 換気扇低く唸りて異次元に入る思ひす窓なき風呂は 竹内光江 履歴書を書けば見た目は立派だがかざせば紙で向こうが透ける 野上卓 逆さまに置いたコップのようにまた背中を向けて口を閉ざした 工藤足知