パチンコ屋に小池光はあらはれてわが連荘(れんちやん)をしばし見てをり  野村裕心



捨て続け来し柵(しがらみ)の亡骸か点滴台をがらがらと牽く  黒田英雄



夫は知りわれはしらざるひとよりのハムを夕餉に分厚くも切る  吉岡馨



いづこより起これる風か背をかすめゐろりの灰をまた赫くする  三島麻亜子



もう春が来てゐる旅のカタログを電車待つ間に手を伸ばし取る  荘司竹彦