かざぐるまてんでに回りどのくらいたったか 少し縮んで帰る  猪幸絵



捏ねられてレーニンに化け鳥居に化け混凝土(コンクリート)の近代あはれ  花鳥佰



カワセミはいつもの枝に止まりしを指し示しても見えぬ人あり  立花鏡子



誰からも離れていたき私に鴎は何か問いたげに舞う  吉川真実



女の子が綺麗で笑顔でいることの尊さ 髪を光で飾り  谷村はるか



レジの人がぼくより偉く見える日にケニアの薔薇を買って帰った  斉藤斎藤



老眼鏡したまま点眼するような人と話して一日の終わる  磊実



両の手をだらりと下げしボクサーのうしろ姿の貝殻骨よ  蜂須賀裕子