きみは向日葵、われは菜の花  伊波虎英


六月の雨にふくらむ人たちが浮雲となり地下街をゆく


心斎橋筋商店街を進めども進めども中国語ひとつも聞かず


六月といふに猛暑日、神もまた原発推進派か 葉風恋ふ


原子炉の火を遠まきに呼吸するきみは向日葵われは菜の花


熱帯夜七日続きし水無月みそかの朝のミルクまばゆし


手づかみでシフォンケーキをちぎつては食べる自づとほころぶ顔で


稲魂女(うかのめ)の化身かマツコ・デラックスの寛衣なみ打つさまを見てをり


図書館の地階へばたばた音たててくだりくる靴意外に多し