2011-12-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 おはぎ 伊波虎英 「御座候」の餡買ひ来たりたんまりとおはぎを作つてくるる母ゐて コンソメのスープ飲みつつお彼岸のおはぎ五つを昼餉としたり 吟遊詩人(トルバドゥール)となりて去りゆくわが影にわかれを告ぐる秋の夕暮れ やや硬くなりしおはぎをきつねうどん啜りて食す今日の夕餉に 仏壇に供へしおはぎのいつまでも柔きままなる世界をおもふ この秋の夜長にちやうど良く『神は妄想である』の分厚きを読む 挽歌集に垂るる紫紺の栞ひも夜のひとりの部屋に伸びゆく いつぽんの白髪ふるへてくしやみせし秋冷の朝の布団より出づ