アロマミストランプ  伊波虎英


アロマミストランプ灯せりぬばたまの夜を短歌に倦(あぐ)み疲れて


月かげの青を浮かべる湖ゆたちたる霧のかぐはしきかな


キャンドルが文具でありしいにしへの夜よ、ひと恋ふ心のぬくみ


夕刊に小さく載りしルネ・ヴァン・ダール・ワタナベの訃もなにやら悲し


目薬のさいごのさいごの一滴のまだあるはずがなにゆゑ落ちぬ


珍しき図柄と色の切手あまた貼られて届く小包なつかし


宅急便うまれし頃にわたくしのサンタクロース失踪したりき


あたらしき年の暦をいろどれる過去の風景みらいの数字