ビーリーフ  伊波虎英


納豆に夏の緑をふらせたり刻みてまぜて香る大葉を


納豆の糸食ふために納豆をよくかきまぜる 大飯再稼働


啄木のひと生(よ)のごとき若草のベビーリーフの苦みを食めり


つまらないことでも物を考へてをれば頭が痒くなるなり


頭、首、肩を消されて通り過ぐシャッターおろす店主の前を


イヤホンを耳にねぢこむ闇よりも黙(しじま)恐るる夜がまた来て


「いま君が必要なの」と真夜中に南北戦争前の貴婦人(レディ・アンテベラム)がわれを求める


いれかはりたちかはりして死者たちの魂あそぶぼんぼん時計