2012-11-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 こほろぎ 伊波虎英 こほろぎの声がやさしくひびきをり夜のしじまを啄むやうに すらすらと歌の出て来ぬ脳みそに塩麹まぶし寝かせてみたき 国旗振るやうに団扇を振るわれの(日本万歳!)入眠儀式 ジャングルに置いてけぼりのさみしさで秋の虫の音(ね)きく熱帯夜 もう辛抱ならぬとばかりに靴ひもが解(ほど)けるごとく自死せし少年 けがれなき瞳かくまふ梨の実にナイフ当つれば滲むものあり 苛めゐし子が苛めらるる子となれるやうにいつしか秋は来てゐつ