冬の星  伊波虎英


歌ひとつふたつノートに書きうつす冬の星座を匿ふやうに


児に神の宿りてをれば母が児を詠みたる歌も神を宿せり


ささやかな死後の名声乞ふ自称詩人がつむぐ繭、夢、冥途


岡田栄悟の名は忘れても佐村河内守といふ名は忘れぬだらう


刹那、燃え果つる流星 生きながら乞ふ名声は死後も輝れるや


小説に出てくる「酔所独来(すつとこどつこい)」で飲めぬ日本酒ちびちびやりたい


尾野真千子を泣かしてしまへりどうしやうもなき男なる石川啄木


イルミネーション映りこみゐて何気なく見し文字盤は冬の星空