馬馬虎虎  伊波虎英


江戸の世の阿片にまつはる物語よみゐたるときASKAの逮捕


蠟燭にたとへられたる陳腐さの命を生きることもむづかし


プラットホームの下に転がる空き缶の麒麟に星を見せてやりたい


バラの香の渦巻きをもて蚊を殺す馬馬虎虎(マーマーフーフー)に暮らしながらに


天の子の相撲に舞へる砂ぼこりかぶりてあるく霾る街を


キーボード打ち間違へれば塔婆となる老婆さまよひ続けて日暮れ


LEDランプのごとく永らふる老いの命を風は撫でゆく


どこまでも広がる空をどこまでも呆けて行かむわれも永らへ