2014-11-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 神の寝息 伊波虎英 二学期がもうぢき始まる少年の自死へのカウントダウンが始まる すれちがふとき傾きておのづから意思もつごとく傘は進みぬ ひと恋し。火とぼし頃の戎橋、綾瀬はるかを見上げて渡る <ひとつぶ300メートル>看板のランナー永遠(とは)に羽を持たざり 猛暑日のなきまま終はる八月の大阪を射るアジアの言葉 冗長にか細くひびく虫の音に冷たくひらく死者たちの耳 神さまの寝息のやうな虫の声とほく聞きつつ我も眠らむ ひさびさに氷川きよしを見てをれば年相応にやつれてゐたり