坊さんが屁をこいた  伊波虎英


鳴きながら低く飛びかふ燕らの喪のよそほひが雨を呼び寄す


あぢさゐの藍の輪廻の転生の顔がいくつも涙に濡るる


いつ生まれいつ死ぬるのか知らぬまま生まれて生きていつか死ぬのだ


坊さんはいづこで何をしてをらむ通夜に流るるテープのお経


坊さんが徳島市から松山へ車を駆りて女殺めき


「坊さんが人を殺した」振り向けば警官、教師、医師の身じろぐ


坊さんは屁ぇこいて寝ろ救ひなど要らぬわたしも屁ぇこいて寝む


肉食の坊さんの屁は臭からうああだからだるまさんが転んだ