夏の日時計  伊波虎英


ひかがみに光あつめて街をゆく乙女は夏の日時計である


押し寄せる中国人の爆買ひの「爆」に「恭」の字ありさうでなし


外つ国の人が大勢行くといふUSJに一度も行かず


づば抜けて歌の上手きはキム・ヨンジャなれど桂銀淑のこゑに惹かるる


忘れへん忘れへんと唄ひたる私は桂銀淑を忘れへん


雨の日のブックオフにはうらぶれた娼婦のやうに歌集が並ぶ


部屋ぬちに洗濯物が短冊のごとく垂れをり雨の七夕


加藤茶の年のはなれた細君の広島訛りに心やはらぐ