2015-11-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 警笛 伊波虎英 花紀京追悼特別番組に懐かしきひと映りては消ゆ 西瓜食めば祖母の思ほゆ病床に季節外れの西瓜を乞ひし 川蜷(かはにな)を腹の薬と食みてゐし祖母は胃がんで早死にしにき 濃き海のブルーの容器を見上げつつさす目薬の心地よきかな こほろぎのか細く鳴くは警笛か夜の怖さを知らぬ子らへの 防犯の「防」のむなしきカメラには少年少女の最期の姿 風景の殺(そ)がれた街で野良猫がみる夢だけが夢なのだらう 助つ人が打たねば負ける情けなき球団なれどもわれは愛せり