2009-07-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 牛乳にひたる苺に少女期の母がゐたるとおもへば哀し 線香の煙ただよひ夕卓の湯気にまじれば母は老いゆく 母のない子どものやうに旅立ちてしまひき清水由貴子ひとりで 神憑(かみがか)るさまに酔ひたる素裸のをとこ叫べば帝都震へる 草食系男子のコンビニ店員がレジ打ちゐたりアルパカ面(づら)で 受け取つてしまつたレシートすぐに捨つ連れ子殺めし実母のごとく 浴室の蛇口の水はキッチンの蛇口の水よりなにゆゑうまい 伊波虎英