五月のうた  伊波虎英


五月とは街ゆくひとが誰もみな青眼をして迎ふる季節


精神がでぃらんでゅらんと移動する五月の風にほぐされながら


壺中の天めがけビルから飛び降りる勇気はなくてスマホをのぞく


猫の目と犬の目のひと語らへり小鳥さへづる音色をさせて


ほほゑめば少しのぞける奥の歯の銀の冠(かむり)もかはゆき乙女


当たり外れの外れの多き赤茄子を愛ほしみつつサラダに食みぬ


はなびらの一まいこぼれ柳原百蓮といふ誤植となりぬ


エクステの睫毛の影が目の下のくまの翳りをいや増す女優