ちゃばしら(連載コラム)

◆ 2003年を振り返って 年末年始号ということで、僕自身のネット活動を中心に今年1年を振り返っ てみようと思う。 ☆ (1)題詠マラソン2003 「題詠マラソン」とは、簡単に言えば2月から11月の10ヶ月間の内に、 参加者ひとりひとりが100の題…

◆ 隘路を進み空間を読む ― 穂村弘の短歌ワールド 「短歌ヴァーサス」第二号の特集「穂村弘〈短歌〉の劇場」は、穂村弘の短 歌の魅力をさまざまな面から提示するものとなっていて非常に興味深く読んだ。 河田育子は「『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)…

◆ 『ありふれた空』の下、彼女は 死ぬ時も生まれる時もひとりだと思えば何とありふれた空 これは諦観だろうか、それとも達観だろうか。ありふれた空の下、いったい 彼女はどんな表情をしているのだろう。 十谷あとりの第一歌集『ありふれた空』(北冬舎)が…

◆ 『きりんのうた。』を聴け こわれゆくおもちゃのように手を振った虚空に刺さる遮断機の下 永遠に時間が止まったかのように遮断機は開いたままなのに、〈私〉はとい えば線路を越えて向こう側へ行こうとはせずに手を振り続けているだけ。それ も、「さよな…

◆ 【 メ ル 短 】 し ま し ょ 。 僕とメールで短歌の交換をしませんか。 あなたの1首をメールで送ってください。 僕からあなたへも自作をメールします。 メールのやりとりは無期限・無制限です。 六月十九日、自サイト内の掲示板に、「【メル短】しましょ…

◆ インターネットという〈 場 〉 足立尚彦氏が「ネット歌会の指導者って……」(『歌壇』五月号)で、指導 者的役割を担う者が存在しにくいネット歌会では、参加者が私淑に近いかたち で指導者を見極めていくことが必要だという趣旨のことを述べている。 私は…

◆ ネット発表作品の扱いについて 大辻隆弘氏が『短歌』4月号に寄稿した連作14首「表象の鹿」が、インター ネット上で企画・実施されている「題詠マラソン」に出詠した作品だった(う ち7首には、推敲が加えられている。)ことについて、拙ウェブ日記「毘紐…

◆ 同じ土俵に 昨年12月に発行された『GANYMEDE』26号の「歌壇時評 ネット歌会のこと」 で足立尚彦氏は、メール短歌同人誌『ちゃばしら』11月号に掲載された五十嵐きよみ氏 の「ネット歌会へようこそ」に触れて次のように述べていた。 「この五十…

◆ ニューウェーブとは呼ばせない 『短歌』十二月号の特集記事「新鋭歌人の短歌観」に、松村正直氏が「もうニューウェ ーブはいらない」と題した文章を寄せている。「ニューウェーブの時代はもう終ったのだ。」 で締めくくられたこの文章は、意図的であるとは…