2005-01-01から1年間の記事一覧

『渡辺のわたし』の中にただ一つら抜き言葉があるをよろこぶ 松木秀 れ恋恋 ら裸裸裸裸裸裸 ろ論論 猫が五月を恋しがるうた 安斎未紀 三組の葬儀重なる控え室せんたくばさみで留めし靴あり 前田靖子 高貴なる名と思ひゐしクレオパトラよくある名とぞエジプト…

新潟県中越地震では新幹線が脱線した 地震でも怪我人出さぬ脱線とエラーの末に死者出す脱線 村田馨 夢の世にはかなき家を建てにけり朝の光に気化するものを 内山晶太 はじめてとアラビアータを食(は)む祖母と森田一義アワー いつまで 高澤志帆 千年を咲き…

<ログ90>◆050:変 高澤志帆 2005年06月29日 (水) 00時18分 6月、変な人 変若(を)ち水をもとめて月下、夏生とふ美(は)しき名のひとと「カフエバー青」へ <ログ91>◆050:変 篠田 美也 2005年07月02日 (土) 22時32分 終止形のぬは籠もりつつぬめりつつ晩…

動きたる香盤時計ある部屋に住みけむ人は引きこもる人 神代勝敏 ゆつたりと時間の川をさかのぼる赤いブリキの金魚がひとつ 藤本喜久恵 焼き立てのパンの香りに人等寄る一旅行者のわれもまじりて 青輝翼 頭から汗吹き出して忘れたきことは忘れむ麻婆豆腐 ユー…

<第4回高瀬賞>◆受賞作 「夢の島」佐藤大船 売上げの降下するたび移転してつひに<夢の島>に辿り着きけり 頼むべくはただ己れのみ扉(ドア)開きて朝の電車に弾き出さるる ぱそこんの前にみんなで真向ひてひかりの谷を彷徨ひてゐる ◆佳作(2篇) 「十二…

☆ 081:洗濯 伊波虎英 2005年06月22日 (水) 01時05分 猜疑心を洗濯ばさみに銜へさせ乾梅雨空にはためかせたし ☆ 082:罠 伊波虎英 2005年06月23日 (木) 01時54分 箱罠がきみの腋窩に在ることの、その夜 流れき ☆ 083:キャベツ 伊波虎英 2005年06月24日 (金) 17…

<ログ88>◆048:袖 蝉マル 2005年06月21日 (火) 15時39分 冷房の効き弱けれどしんしんと腕時計は冷ゆ袖の中にて ◆011:都 キタダヒロヒコ 2005年06月23日 (木) 09時43分 独楽のごといつかたふるる首都ひとつまだみづぎはにまはりをりたり <ログ89>◆097:…

迷ひあるときはかならず祖父(おほちち)がくれし幸弾丸(しやちだま)ぎゆつと握りしむ もろもろの民にもうぢきまぎれゆく皇女(くわうぢよ)のこゑを倍速で聴く 変はり者はいづこにもゐる美しく言はば桜が松に咲くがに六甲のおいしい水 > の工場(こうぢや…

<ログ84>◆079:ぬいぐるみ 史之春風 2005年06月09日 (木) 23時16分 ぬいぐるみショーの舞台の裏側も観覧車から見える休日 ◆043:馬 常盤義昌 2005年06月10日 (金) 02時27分 両足にいだかれて鳴る栗色のチェロとは遠きはつなつの馬 <ログ85>◆032:乾電池…

☆ 071:次元 伊波虎英 2005年06月09日 (木) 23時41分 両耳をふさげば美術館(ミュゼ)の二次元の糸杉は吾の、世界のうねり ☆ 072:インク 伊波虎英 2005年06月09日 (木) 23時43分 テオ宛の手紙のインク ひまはり(ハ手負ヒノ花)に容赦なく陽は ☆ 073:額 伊波…

八月を日時計奔れをさな児の膝裏(ひかがみ)にむべひかりあつめて *題「自由題」 *期間2005.5.23〜6.30 *出詠歌一覧は、こちら。↓ http://www.tanka.org/kakai13.html

6.20:ペパーミントの日 伊波虎英選 【天】 やかなけりペパーミントの日と思ふ 島田牙城 【地】 自己紹介が拙いペパーミントの日 ユースケ 【人】 ペパーミントの日の芸能界 谷口純子 【佳作】 やっぱり貴女でしたかペパーミントの日 淡々 ペパーミントの日千…

6.19:朗読の日 伊波虎英選 【天】 朗読の日やカツサンドほのぬくき 櫂未知子 【地】 身じろがずゐる朗読の日のガガンボ 坂石佳音 【人】 朗読の日の大空をめくりましょう 月野ぽぽな 【佳作】 朗読の日留守電の灯が瞬けり 文平字 朗読の日に速読の勧誘者 中…

6.18:おにぎりの日 伊波虎英選 【天】 目で殺すおにぎりの日の座長かな 信治 【地】 気の合はぬ母を迎へにおにぎりの日 櫂未知子 【人】 おにぎりの日の香具山や畝傍山 春畑 茜 【佳作】 おにぎりの日のもれいづる砂金かな 島田牙城 おにぎりの日のセロハン…

6.17:おまわりさんの日 伊波虎英選 【天】 誰も見ずおまわりさんの日の雲梯 ユースケ 【地】 おまわりさんの日L字になりきれぬ拳銃 中村安伸 【人】 おまわりさんの日とはこちらが恐れ入る 中塚涼二 【佳作】 終わりませぬおまわりさんの日のじゃんけん 緋…

6.16:麦とろの日 伊波虎英選 【天】 弥次さんが喜多さん殴る麦とろの日 谷口純子 【地】 麦とろの日の聖職をかなしめる ユースケ 【人】 麦とろの日の白昼の口が開く 春畑 茜 【佳作】 頽れて麦とろの日に女体抱く 文平字 副校長麦とろの日の無為無策 中村安…

<ログ81>◆007:発見 村上きわみ 2005年06月02日 (木) 23時29分 おんなのこばかり集めてうつくしいバグをいくつも発見したい <ログ82>◆073:額 織田香寿子 2005年06月03日 (金) 12時50分 わが裡をひたひた濡らす絶叫の泰樹の額(ぬか)の熱情の汗よ <…

☆ 061:じゃがいも 伊波虎英 2005年05月24日 (火) 00時59分 じゃがいものじゃがの由来を知るゆゑに小熊猫(せうパンダ)風太のすくと立つ ☆ 062:風邪 伊波虎英 2005年05月25日 (水) 01時13分 認知症に倣ひて心の風邪といふイイヤ心の旅と言はうか ☆ 063:鬼 伊…

この齢(とし)になれば初めて見る貌(かほ)なしどいつもこいつも誰かに似てゐる 黒田英雄 おおどかに湖を抱く磐梯の見守るところを会津と言えり 野村裕心 富士山の残雪もよう鳳凰の形となりて飛びゆくような 安藤厚子 楽天よ0対26とはいかんせんああピ…

被害者は「男性」と言はれ加害者は「男」と言はる朝のニュースに 柴田朋子 千手観音の騒がしき手よ人間にもつとも近き仏とおもふ みの虫 海賊に亡き夫返せと札束を抱へて叫ぶわれ夢の中 不思議なる思ひにからるる後書きよ作者とは常に礼を言ふ人 中山邦子 触…

跨線橋わたりてゆける一人の、ビニール傘のなかの雨雲 内山晶太 ふーてんを愛する思いそのままに風を浴びたい柴又の風 村田馨 白菜の身をすぱすぱと削ぎ切れば白きつばさのごとくひろがる 神原僖美子 ひとびとの奉仕のうへに成る結社 身の丈なりともこころ寄…

咲きみちて花咲きみちて声はなしさくらさくらさくら曼荼羅 川田由布子 頬の上に産毛ひかりて黙るとき男の子とは枇杷に似ている 早川志織 言外の意味を負わされ往きゆかむ『滴滴集』の表紙の犀は 生沼義朗 イチローの巧打のほうが芸術かそんじょそこらの短歌…

◆「三月の時ならぬ雪」松木秀 男とは背中で語るものなればリングに倒れゆくアケボノは 昭和とはソ連のありし頃を指すミリバールありし頃もまた指す ◆「こくこくと春を飲み干す」有沢螢 こくこくと春を飲み干す少年ののどぼとけひとつボトルに映る 閉鎖病棟の…

<ログ79>◆037:汗 近藤かすみ 2005年05月25日 (水) 22時33分 顔文字で照れて笑つて汗をかく世界がときどき馬鹿らしくなる ◆080:書 飛永京 2005年05月26日 (木) 02時32分 訳本を書いた人の名うつくしい蓮池薫 大地に根ざす <ログ80>◆037:汗 高澤志帆 2…

復活祭の月光浴びてあるく吾はサドルを盗られたる自転車か 春霞淡くさへぎる遠方(をちかた)へ老女三人(みたり)をバスは運べり さかさまに鞄をふればしろがねのゼムクリップ出づ泣けとばかりに しやきしやきとサラダすなはち北原白秋(はくしう)のさびし…

<ログ77>◆045:パズル 五十嵐きよみ 2005年05月20日 (金) 00時12分 一冊をどこまで言葉で埋めてもパズル雑誌の変わらぬ軽さ ◆047大和 松山宮崎 2005年05月21日 (土) 11時14分 好物は大和の国のジャムパンで祈るのがクセ青い目の友 <ログ78>◆046:泥 田…

☆ 051:泣きぼくろ 伊波虎英 2005年04月16日 (土) 00時53分 泣きぼくろ持つ者同士で話し合はう 大陸、半島、雨は日本へ ☆ 052:螺旋 伊波虎英 2005年04月21日 (木) 11時01分 教皇が逝去せし日も天上を螺旋めざせり有平棒(アルヘイばう)の ☆ 053:髪 伊波虎英 …

「記念日俳句」投稿ページ(http://www.sweetswan.com/kinenbi-touku/) ☆ 6.1:麦茶の日 伊波虎英 2005年04月22日 (金) 10時33分 淡々と流るる大河麦茶の日 ☆ 6.2:路地の日 伊波虎英 2005年04月22日 (金) 17時21分 路地の日や蝋石ちびて老ゆる子ら ★淡々選【…

<ログ75>◆032:乾電池 高澤志帆 2005年05月14日 (土) 09時32分 5月、失楽園 オキシライド乾電池の青 さけがたく気の強き人にひかれてしまふ <ログ76>◆022:弓 渡部光一郎 2005年05月16日 (月) 21時04分 弓を持つ矢を持つ矛持つ斧を持つまた花を持つ観…

<ログ73>◆030:橋 冨樫由美子 2005年05月09日 (月) 16時16分 ながいながい放課後だつた繰り返し倫敦橋が落とされてゐて ◆028:母 杉山理紀 2005年05月10日 (火) 01時07分 母と乗る電車のすきまが深かった喜一のぬりえ落ちそうだった <ログ74>◆066:消 …