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◆ 鉋とノミ 伊波虎英 紫陽花の影絵となった白昼にわたしの首が座礁している 十月の雨降る森は眼帯の少女となりてけむっておりぬ 守谷茂泰 枯れつくすときを迎えむわが詩藻 水子供養の飛行機草も 人殺すわれかもしれず敗戦日黙祷のあと顔あげてゆく 八木博信 …

◆ 良い短歌/良い読者 伊波虎英 「9月時評/短歌と出会う」で村田馨氏は、作者と読者との間に ある<良い短歌>についての認識のズレに触れて、<良い短歌>が <良い読者>とめぐりあう確立を高めるためには、読者の物差しと 作者の物差しをできる限りすり…

6.20:ペパーミントの日 伊波虎英選 【天】 やかなけりペパーミントの日と思ふ 島田牙城 【地】 自己紹介が拙いペパーミントの日 ユースケ 【人】 ペパーミントの日の芸能界 谷口純子 【佳作】 やっぱり貴女でしたかペパーミントの日 淡々 ペパーミントの日千…

6.19:朗読の日 伊波虎英選 【天】 朗読の日やカツサンドほのぬくき 櫂未知子 【地】 身じろがずゐる朗読の日のガガンボ 坂石佳音 【人】 朗読の日の大空をめくりましょう 月野ぽぽな 【佳作】 朗読の日留守電の灯が瞬けり 文平字 朗読の日に速読の勧誘者 中…

6.18:おにぎりの日 伊波虎英選 【天】 目で殺すおにぎりの日の座長かな 信治 【地】 気の合はぬ母を迎へにおにぎりの日 櫂未知子 【人】 おにぎりの日の香具山や畝傍山 春畑 茜 【佳作】 おにぎりの日のもれいづる砂金かな 島田牙城 おにぎりの日のセロハン…

6.17:おまわりさんの日 伊波虎英選 【天】 誰も見ずおまわりさんの日の雲梯 ユースケ 【地】 おまわりさんの日L字になりきれぬ拳銃 中村安伸 【人】 おまわりさんの日とはこちらが恐れ入る 中塚涼二 【佳作】 終わりませぬおまわりさんの日のじゃんけん 緋…

6.16:麦とろの日 伊波虎英選 【天】 弥次さんが喜多さん殴る麦とろの日 谷口純子 【地】 麦とろの日の聖職をかなしめる ユースケ 【人】 麦とろの日の白昼の口が開く 春畑 茜 【佳作】 頽れて麦とろの日に女体抱く 文平字 副校長麦とろの日の無為無策 中村安…

昨年の「題詠マラソン2004」、 「縫い目」というお題に 玲はる名さんが出詠された作品について (こちらで作品がうまくUPできないので 掲示板でご覧ください)、 僕の掲示板でいろいろ話をしています。記号短歌、作品のオリジナリティーに関して等、 今年…

◆『秘密基地』雑感 舟橋剛二歌集『秘密基地』を読んだ。 歌集出版を決意してから出版までの道のりを、筆名の 清水幸多として公開しているウェブ日記でリアルタイムで 読んで知っていたので、短期間でこれだけの歌集が よくできたものだと感心する。さらに、…

◆ 『銀耳』再読 伊波虎英 五月十六日に東京で行われた短歌人の研究会の様子を、みの虫さ んがCD−Rに収録して送ってくださった。取り上げられている歌 集は、僕のお気に入りの一冊でもある魚村晋太郎さんの『銀耳』。 発表者の木曽陽子さんが、魚村作品に…

◆ 斉藤斎藤> よりも作品を 伊波虎英 三月号の「三角点」に掲載されていた廣西昌也さんの「斉藤斎藤さん の「名前」」を、以前インターネット上においても枡野浩一さんが 藤斎藤> に異を唱えていたことを思い出しながら読んだ。 初めて僕が「短歌人」を手にし…

「題詠マラソン2004」100首詠完走しました。 (http://www.sweetswan.com/daiei-2004/) お題とは別に、人名を詠み込むという縛りを設けていました。 ミッキーマウスとかハルウララも紛れてますけど……。(^^;;; 最初からこの人を歌にしたいと思ってい…

◆ 2003年を振り返って 年末年始号ということで、僕自身のネット活動を中心に今年1年を振り返っ てみようと思う。 ☆ (1)題詠マラソン2003 「題詠マラソン」とは、簡単に言えば2月から11月の10ヶ月間の内に、 参加者ひとりひとりが100の題…

◆ 隘路を進み空間を読む ― 穂村弘の短歌ワールド 「短歌ヴァーサス」第二号の特集「穂村弘〈短歌〉の劇場」は、穂村弘の短 歌の魅力をさまざまな面から提示するものとなっていて非常に興味深く読んだ。 河田育子は「『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)…

◆ 『ありふれた空』の下、彼女は 死ぬ時も生まれる時もひとりだと思えば何とありふれた空 これは諦観だろうか、それとも達観だろうか。ありふれた空の下、いったい 彼女はどんな表情をしているのだろう。 十谷あとりの第一歌集『ありふれた空』(北冬舎)が…

◆ 『きりんのうた。』を聴け こわれゆくおもちゃのように手を振った虚空に刺さる遮断機の下 永遠に時間が止まったかのように遮断機は開いたままなのに、〈私〉はとい えば線路を越えて向こう側へ行こうとはせずに手を振り続けているだけ。それ も、「さよな…

◆ 【 メ ル 短 】 し ま し ょ 。 僕とメールで短歌の交換をしませんか。 あなたの1首をメールで送ってください。 僕からあなたへも自作をメールします。 メールのやりとりは無期限・無制限です。 六月十九日、自サイト内の掲示板に、「【メル短】しましょ…

◆ インターネットという〈 場 〉 足立尚彦氏が「ネット歌会の指導者って……」(『歌壇』五月号)で、指導 者的役割を担う者が存在しにくいネット歌会では、参加者が私淑に近いかたち で指導者を見極めていくことが必要だという趣旨のことを述べている。 私は…

◆ ネット発表作品の扱いについて 大辻隆弘氏が『短歌』4月号に寄稿した連作14首「表象の鹿」が、インター ネット上で企画・実施されている「題詠マラソン」に出詠した作品だった(う ち7首には、推敲が加えられている。)ことについて、拙ウェブ日記「毘紐…

◆ 同じ土俵に 昨年12月に発行された『GANYMEDE』26号の「歌壇時評 ネット歌会のこと」 で足立尚彦氏は、メール短歌同人誌『ちゃばしら』11月号に掲載された五十嵐きよみ氏 の「ネット歌会へようこそ」に触れて次のように述べていた。 「この五十…

◆ ニューウェーブとは呼ばせない 『短歌』十二月号の特集記事「新鋭歌人の短歌観」に、松村正直氏が「もうニューウェ ーブはいらない」と題した文章を寄せている。「ニューウェーブの時代はもう終ったのだ。」 で締めくくられたこの文章は、意図的であるとは…

<歌の栞 In 色紙2003> 2003年5月から12回の予定ではじめた みの虫さんの書画と僕の小文「歌の栞」との コラボレーション企画へのリンクページです。 みの虫さんが毎月どのような短歌作品を取り上げるのか 僕自身もわくわくしながらの企画でし…